■
「野に咲く花なら」
作:渡辺正行
演出:小野寺丈
出演:西 初恵、清水拓蔵、大内歌奈絵、星野ゆりか、鈴木輝美、橋本賢治、鈴木 雅、奥山弥生、田中充貴、小和田貢平、今泉由香、石山 大、池田みゆき、石井 絹、小野寺 丈 他
←左の画像をクリックするとチラシをご覧いただけます。
【あらすじ】
敬子は、職業紹介所の紹介で、とある筋ジストロフィー専門病院の保母として就職することとなった。初勤務の日、敬子はいさんで病院の門をくぐった。
婦長に始めての挨拶をした敬子は、婦長に尋ねた。
「あのー、何をすればいいでしょうか」
婦長の答えは意外なものだった。
「そーねー、鳥かごの掃除でもしてて頂戴」
唖然とする敬子に、部屋のベッドの中から声がかかった。
「何もしなくていいんだよ。どおせ、僕らはスグに死ぬんだから」
声の主は健一だった。
翌日から敬子はせっせと、それでも、何かをやろうとして働き始めた。少しずつ患者の様子もわかってきた。アマエンボーのミーコ。つっぱりの理佐子。その他の患者たち。みんな程度の差はあれ、筋ジストロフィーという病気の重さにおしつぶされそうな日を過ごしていた。
敬子は、相変わらず「何もしなくていいんですよ。」と健一と同じようなことを言う婦長に対して、反発をおぼえつつ、患者たちのことを少しずつ理解していった。
「なにか、目標をみつけたら、みんな元気になるかもしれない!」
ある日、そう思いついた敬子は、プレイルームで突然、患者たちに話しかけた。
「ねー、何かやらない?」
「何かってなにやるんだよ。」
「そーねー。何でもいいわ。何かやりたいことはないの?」
当初は気乗り薄のようだったみんなも少しずつ、「ギター、やりたいなー。」などと言い始めた。
健一も「俺、詩を書いてみるか。」ようやく心を開いたのか、そんなことを言い出した。
その日から、敬子の大車輪の活躍がはじまった。驚き、制止しようとする婦長も説き伏せ、渋る患者も叱咤激励する日々が過ぎ始めた・・・・・。
【アンケートのご紹介】
公演の際にみなさまに記入していただいたアンケートから感想を紹介します。ご協力ありがとうございました。
・女性32歳「あらためて生きる大切さをつくづく考えさせられました。私達、健常者はもっともっと頑張らなくてはなりませんな。とにかく頑張って生きていきます。一度は死に直面した一人の人間として」
・男性32歳「ガンバレと言ってあげる、くれることが大切だと気づかされた。みんな生きている、24時間はみんなと同じ。凄くはっとさせられた。ドラマとか映画にしてもっとみんなに知って欲しいと思った」
・女性16歳「『生きる』事の大切な意味。『生きる』という大切な意志。誰でも持っている大切なもの。見失いやすい大切なモノ。言葉や態度で表す事のむずかしいものばかりが、この作品のテーマの中にあり、私にも伝わりました。これからもこの様な作品を多くの人達に伝えてください」
・女性44歳「何もわからずに来たので(チラシは見ましたが)ただ見入ってしまいましたが、どんどん引き込まれ一緒にこの先どうなるのかと観ていました。どんどん彼等が明るく活き活きしていくのが観ていて気持ちが良かったです。ラストも感動しました。良い作品でした」
・女性「私の母はガンで亡くなりました。病気こそちがえど、自分の命に終わりがくることを知っていた点では同じでした。だからこそ主人公の方と同じように何か最後に光輝く時間をもって欲しいと私なりに母とぶつかってみましたが、この物語のように上手くできたとは言えません。手さぐりの毎日でどうしたらよいか悩む日々でした。結局母は「静かに過ごせればそれが一番」と自分に納得させていました。それ以上何も言えなかった私が悔しくて、これを見ながら当時の思い出がよみがえってきて、いたたまれませんでした。もっと早くこの作品に出会えたらと、今そう思います」